1月28日収録生放送用声劇台本⓸
「転生問答」
◆◆問答サイド
マリヤ「自分が転生した意味?さあ、そんなこと考えたこともないね。生物が生まれるのに原理はあれど、理由などありはしないのだから。死についてだって同じさ。そしてそれは、ファンタジックとて例外ではない」
エクスピア「うん、初手からなかなかに攻めてくるね、とても興味深いよ。チェスの手も、その話もね。君と僕との勝敗は五分と五分。なかなか決着はつかないけれど、今日はどうなるかな?」
マリヤ「さあな。せいぜいわたしを退屈させるな」
◆◆庭サイド
シオン「あぁ~~」
インタリオ「何してんの死にたいの」
シオン「だってオレ、夕飯の買い物してきたばっかで手が塞がってんだよ!鳥籠ごとあんな小鳥が届いてたなんて知らなかったし仕方ねぇだろ~」
インタリオ「ほんとばかみたいぼく知らないよ」
シオン「あぁ~~…俺に翼か捕まえられるような能力があればいいんだけどなぁ…」
◆◆問答サイド
エクスピア「僕はきっと、前世で課せられた贖罪を果たしきれなかったから、今の生を受けたのだと思っているよ。あえて人間とは違うファンタジックとしてこんな姿や能力である意味はきっとあると思う。どうだい?」
マリヤ「くだらないね。わたしは蜃だ。愚かな人間の無知蒙昧が生み出しただけの、荒唐無稽な存在にすぎない。そのわたしに、生きる意味や果たすべき使命など、あるはずがない。所詮はただの幻なのだから」
◆◆庭サイド
シオン「はぁ…はぁ…待て待て待って!あ!黒、黒じゃん!その小鳥捕まえて!」
黒「は?やだよ」
インタリオ「のろま」
シオン「ひでぇ!なんっっで誰も手伝ってくれねぇんだよ!」
インタリオ「ぼくが手伝うわけないでしょばかじゃないの殺すよ」
黒「通りすがりのおれに頼るとか意味わからないんだけど……待て、これはちくわの気配」
シオン「ちくわ?…ちくわなら確か買い物袋の中に…」
黒「ふーん、そのちくわで手を打ってやらないこともないけど?くんくん…この鳥籠についた匂いだな…この匂いを辿っていけば…」
シオン「マジで!ちくわなんかで良ければいくらでもやるよ!」
インタリオ「お菓子あるならちょうだい」
シオン「ねぇよ」
インタリオ「ケチ」
黒「――――――はい、捕まえた。おれの追跡能力つかえばこれくらい余裕」
シオン「はっや!」
インタリオ「チョロすぎ。頭の中ちくわが詰まってるんじゃないの」
黒「はい、捕まえたからちくわ出して、はやく、ほら、ちくわ」
シオン「今夜のおでんはちくわ無し…まいっか!」
◆◆問答サイド
エクスピア「これは…引き分けかな?」
マリヤ「つまらん。今日はここまでだ。そのゼリーも口に合わんしな」
エクスピア「それは残念。あぁ、さっきの話だけど、やっぱり僕は、生まれてきたことには意味があるって思うよ。」
マリヤ「勝手に言っていろ」
エクスピア「ふふっ…」
◆◆庭サイド
シオン「あっ父さん。これ届いてたぞ。なんで小鳥なんて…」
インタリオ「シオンが逃がしてた」
シオン「シッ!」
エクスピア「ありがとう。……そうだマリヤくん、この子を育ててみたらどうだろう?生まれた意味というものは最初からあるものではなく、誰かから与えられることもあるからね。もしかしたら」
マリヤ「要らん。わたしは生物は嫌いだ。鳥などというものは特にな」
黒「うわ、冷た」
シオン「帰ってった…良かった、あの人怖いんだもん…」
エクスピア「……うん。じゃあこの子はうちで飼おうかな。シオンに友達も必要だと思っていたところだし。」
シオン「え、俺に?」
エクスピア「あぁ、大事にしてね。ところでみんな、良かったらお茶とお菓子でも如何かな?美味しいゼリーが残っているんだ。」
インタリオ「じゃあ要る」
黒「ちくわもある?だったらもらう」
シオン「小鳥の名前…何にしようかなぁ」
おしまい