山ヒバ 山本は眼前の惨状に目を丸くした。(Hedgehog's dilemma) 桜が咲いた。まだ一輪、二輪だけだけれど、その日並盛中学校の今年の桜が初めて花開いたのだった。(脅し文句にも似たそれは) 「君のことは、よく分からないな」(Unknown) 何かしくじっただろうか。(どっちが大事?) 「はい、これ今日の土産なのなー。あ、一応ナマモノだから早く食ってな」(正しい梅雨の過ごし方) 「かくれんぼやらね?」(お願い,逃げてみせてくれ) 倒れ伏した身体を、ヒバリは黙って見下ろしている。(それがすべてだ) 学園祭が近くなり、学校内が活気づいている。(大正浪漫) 硬球と金属バットがぶつかり合う甲高い音がした。白球が空高く舞い上がるのを 、ヒバリはなにとなしに見つめていた。(無くしたボール) 「…ありゃ?」(青い空と白い雲と、) 真夜中、物音が聞こえた気がして山本は目を覚ました。(サンタクロース) なんとなく廊下から見下ろした校舎裏で見つけた野球馬鹿をヒバリは普段なら気 にも止めなかっただろう。(犬と猫) もしも世界があんたのためだけにあるとしても(たとえ世界が君のためだけにあるとしても) 見慣れた部屋に、異質な人。(雷の光る昼) 鳴き声がした気がして、そちらに目を向けたヒバリの視線の先にいたのは黄色い 小鳥ではなく、大きい後輩だった。(口笛) 「…あり?」(歌声) 最近ヒバリは俺が応接室にいても殴らない。追い払おうとしなくなった。(嘘と本音) 「ヒバリ」(繋) 「なぁなぁ、ヒバリの力でよ、理科室とか使えねぇかな」(Stella) 降り続いた雨が上がり、久しぶりに太陽の光が惜しみ無く降り注ぐ日だった。 (青空) 風の強い日だった。(この恋は命がけ) ヒバリが俺じゃない他の誰かとどんなカタチであれ繋がってるのは嫌だ。(携帯) なんか、感じた。(第六感) / なんだか、無性に、(夏の日雨の日) 「あ」(声) 放課後。応接室の開け放たれた窓、半分閉められたカーテンが風で小さく波打ち揺れる。そのカーテンが緩やかな日差しを遮り室内は薄暗い。(閉鎖迷宮) ふわり、流れ込んできた風はカーテンを揺らし、山本は頬を撫ぜられる感覚に目を覚ました。(最大の恋) 静寂に満ちていた応接室に欠伸が一つ舞う。(静寂に君と)