冒頭でスペインの製造業はあまり強くないとおっしゃていましたが、スペインにも国際的に有力な企業があると思います。
オルティゲイラ:スペインの製造業は悲観的にならざるを得ないのですが、世界レベルで素晴らしい企業もあります。例えば高速鉄道をはじめとするインフラ系の企業です。空港運営や高速鉄道建設のノウハウや技術に強みがあり、既にサウジアラビアや米カリフォルニア州でビジネスを展開しています。ロシアとも鉄道建設を交渉中です。このように、インフラ系の企業が危機を経て、海外での事業機会を積極的に模索するようになっています。
また、石油とガスの「レプソル」は、アルゼンチンを含め数カ国に油田を保有しています。通信大手の「テレフォニカ」は、南米諸国で通信事業を展開しています。銀行セクターでは南北米国大陸と英国で展開する2行がありますし、「ザラ」を展開する衣料大手「インディテックス」は世界的に有名ですね。
危機のおかげで各企業が海外市場での展開に本気になったのですね。
オルティゲイラ:それが、スペインが危機から得たプラスの側面でしょう。国内での事業機会がどんどん縮小しているので、生き残るためには他国でチャンスをつかむしかない。これがスペインのビジネス界に新しい風を巻き起こしてくれればいいと思っています。きっと成長しますし、世界を相手にすることに集中していれば、国内市場の縮小にあまり悲観的にならなくてもすみます。
農業も比較的重要な分野です。もともと、欧州各国にたくさん農産物を輸出していますが、近年は創造的で、洗練された農産物を作るようになっています。品質も向上し、競争力が高まってきました。オリーブオイルやワインでは研究開発やマーケティングの努力が進められ、イタリア産などに劣らぬ品質の高いものを製造するようになっています。
若年失業、パラサイト、少子化、日本とスペインの怖い共通点:日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120808/235437/?P=6