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niyata2807 抱きしめてそしてキツく。

  • 古びた町営アパートの階段の踊り場で

    古びた町営アパートの階段の踊り場で
    抱き寄せ、暗闇に目が慣れないままにキスをした。
    慌てたキス、歯が少し彼女の歯に当たり
    ごめん。と呟き
    伏せた彼女の顔を覗きこんだ。
    月光が背後から差し込む。冬の12月の光は
    冷え冷えとした青白く彼女の髪を照らした。
    2015/05/31 niyata2807
  • 冷えきったコンクリートが僕達の体温を奪う

    冷えきったコンクリートが僕達の体温を奪う。
    剥がれ落ちたペンキの跡のザラザラとした触感が
    白いシャツを通して伝わる。
    数段登ると開放口から月光が差し込む。
    2015/05/31 niyata2807
  • 学校から数分歩けば、ひなびた駅舎がある。

    学校から数分歩けば、ひなびた駅舎がある。
    毎日、一時間に一本程度の電車が止まりゆっくり動き去る。
    僕たちは手をつなぎ、駅に走りだし
    歩道橋を駆け上り
    電車に飛び乗った。
    地方の海岸線を電車はゆっくりと速度を上げていく。
    海岸線から真冬の海が照らされて
    キラキラと車内を照らす。

    海に一番近い小さな集落の駅で降りて
    僕らは海へ歩いて行く。

    誰も人通りのない民家の細い道を抜け、国道を渡り、防波堤の開かれた階段を降りていく。
    2015/02/18 niyata2807
  • プロット 映像

    ストップモーション
    落ちていく。
    飛んで行く。
    ゆるやかに時間を流れ
    その中で音楽と言葉が流れていく。

    青い空。
    2015/02/18 niyata2807
  • 取り壊し前の古い校舎は

    取り壊し前の古い校舎は
    コンクリートの冷たさと冬の雲間から時折
    廊下を照らすぼやけたセピア色の光の中できらめく埃

    去年卒業した生徒の書道の紙がちぎれて
    風に回っている。

    2015/01/27 niyata2807
  • 手首に薄っすらと血の筋が残るほどつよく

    手首に薄っすらと血の筋が残るほどつよく
    ナイフを押し付ける

    この世から消したいのは、私の回りの者達
    いや
    私自身だろうか?。


    2015/01/27 niyata2807
  • 冬に向かう海岸通り

    冬に向かう海岸通り
    手が届く距離を
    少しだけ離れて歩く
    松林に吹く海風は少し冷たく
    揺れる松葉から差し込む光は
    眩く
    彼女の顔を時折
    輝かせる
    振り返る少年に
    時々
    彼女の
    少し寂しげで不安そうな微笑は
    彼女を想う少年の心をざわつかせる

    2014/12/08 niyata2807
  • ドラマが過去を呼び起こす

    ドラマが過去を呼び起こす
    「Nのために」
    テレビで流れる誰かが誰かを想いやる
    自分にとってのその誰が
    走馬灯のように頭の中で駆け巡る

    慌ただしさの中で
    思い出した幼い初恋

    少年の家庭は家業の倒産
    少女の家庭は離婚
    中学3年秋互いに居場所を無くしていた
    2014/12/08 niyata2807
  • 慌ただしさの中で

    慌ただしさの中で
    昨日のことさえ、忘れてしまう。そんな日常の中で
    思い出すことは
    貪り愛し合った愛でもなく
    恋こがれそれでも叶わなかった恋でもなく

    まだ、恋の形さえ分からないまま
    回りの幸せの中で、どこか取り残されていた二人が
    惹かれ合って
    始まった背伸びした少年と少女の頃を思い出す。

    似たようなそれも少しだけ歪んだ環境は
    お互いを惹きつけ
    言葉さえ気遣い相手を傷つけないように
    ぽつり、ぽつりと話ながら学校帰りを歩く。

    やがて、触れることも無いまま
    互いの進む道が違う中で
    自然と離れていった恋を
    思い出す。
    2014/12/06 niyata2807
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